新島放浪記 その⑩

tomo3

2012年11月18日 00:56

9/2(日)【午後 羽伏浦漁港にてフィッシング編】

遂にこの時を迎えた。
私はもうベイトフィッシングはしない。
ルアーフィッシングをしに来たのだ。

堤防先端の方ではサビキでサバがバカスカ釣れているが、ご近所ではサバがポツポツ程度。
私もジグでサバを狙うがバイトすらない。
サビキで釣れていてるという状況は、ルアーには良くないということもあろう。

OKA氏にはネオンナイトではなく、ソアレゲームをレンタル。
これでよりフィネスなベイトフィッシングが楽しめるだろう。
注)ベイトフィネスではない。

するとOKA氏、すぐにイシダイをキャッチ。
やりますな。
ソアレゲームなら引きも存分に楽しめたことだろう。
彼もすっかり慣れたもので、抜き上げ以外の動作は既にベテラン落とし込み師のようだ。
外海の激流が当たる反転流の中を、軽量のシンカーで馴染ませて釣っている。
素晴らしい成長ぶりである。
なかなかこうはできない。
見て真似る、そこに教えてもいないのに己の創造性を+αしていくという脳構造が素晴らしい。

やだー、できなーい、つまんなーい。
これでは一生そのループから抜け出せないだろう。

OKA氏はその後も好釣で、イシダイを数枚キャッチしていた。
羨ましい。
楽しそうだ。
だが、タックル交換しないか、とは言えない。
私には大いなる目標がある。


シャクる。
ひたすらにシャクる。
手にしなければならない。
必ず。


高速リトリーブにマシンガンジャークのショアジガーは、当然ジグもヘビーウェイト。
それで喰ってきていないということは、スクールしておらず、活性は低いと考えられる。
よりスローな展開が合っているのではなかろうか。

私はアルテサーノ93によるライトショアジギなので、気持ちよく背負えるジグは30gまで。
潮流で多少流されてしまうが、スローに誘うにはこちらの方が適しているだろう。

メインジグはシーライド30g。

ショアキャスティングによるスロージギングなイメージ。
ゆっくりだが確実に、ジャッ、ジャッ、とワンジャークワンジャークを丁寧に入れる。
一定アクションでは見切られ易いと考え、時折変化をつけるよう注意を払う。

正面沖は広大なオープンエリアのため、スクール待ちの釣りしかできない。
幸い私は堤防角地を確保していたので、サイドのサーフ側から正面の沖側まで広範囲に探ることができる。

この渋い状況下、よりピンの釣りをするべきと判断。
回遊魚と言えど、様々な釣りの経験から、地形が重要なのは間違いないはず。
地形についた魚を狙うなら、ピンとは言わずとも、より明確なラインを攻めねば狙ったバイトは誘発できない。

そこで、角地から斜めにキャストし、サーフと沖のディープが交わる地形変化のラインを重点的に攻めることにした。
これがいつか当たるはず、と心を強く保つ。
渋い状況の中、旅で培った精神力でシャクり続けた。

頑張れシーライドと私。



ゴゴンッ!!


突然その瞬間は訪れた。
すかさず軽くフッキング動作を入れると、ロッドが曲がる。
間違いない。
アオだ。
釣ったことの無い魚だが、多くの情報を元にイメージトレーニングをして来たので確信が持てた。
この一瞬のために途方もない時間を費やしてきたのだ。
必ず獲る。

いざ真剣勝負、という程の重量感は無いが、本当によく走ろうとする魚だ。
引きを脳みそで存分に味わうことしばし、足元に浮いた魚体はまぎれもなく、、、



カンパ!!!!
カンパ!カンパ!カンパ!
しっかりと眉間に「八」の字。
まさに間八。

サイズは30cm強だが、それは大した問題じゃない。
これが釣りたかった。
これを釣りに来たのだ。
感動。
嬉しくて堪らない。
この何か突き抜ける様な感覚。
語彙の少なさ、表現の至らなさを呪う。

子供だな、と思われるかもしれない。
「大人」(特に団体に身を委ねる社会人)として生きるには、こういった感覚を取り除いた方が生き易いのだろう。
それはわからなくはない。
ただ、多数派という生物は、概ね有事の際に役に立たないのは知っている。

何か書きたいが、言葉がなかなか見つからない。
「魚釣り」とは、「魚を釣る」ことではない、と言うか。

失礼して引用する。
「釣りたいのは、感動だ。」※←某プロの言葉。

これほど感銘を受けたフィッシングフレーズ(?)はない。
人間のあらゆる活動の原動力はこれだとすら感じた。

イート派だのリリース派だの、ルアー派だのエサ派だの。
笑止。
実にナンセンスだ。
話の次元が違う。

フィッシングをしない人にも、私のようなアングラーの気持ち・信念を少しでもお届け出来ればと思う。

なんだか薄気味悪い野郎になってるな。
比較的フランクなタイプです、私。
まあいいや。
とにかく嬉しくかった。




本編においてこれ以上綴ることはない。
なぜなら、「そのキャストフィールに、言葉は追いつかない」からだ。
※ステラーならわかるw

この日の終わりを簡単に記す。
新島の繁華街へ戻りチャリを返却。
夜は焼き鳥屋で贅の限りを尽くす。
テントを張り、缶ビールで再祝杯。
就寝。
安堵感、達成感。
この日の眠りは素晴らしいものがあった。




新島放浪記はもう少々続きます。
もうしばらくお付き合い下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
おやすみなさい。
あ〜、疲れた。


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